2009年11月13日金曜日

『蚊取りの煙』〜その4、午前4時前〜

 とても良い作品です。
 あまり注目しませんでしたが、笑えるところもあって、それがまた切なさを引き立てるという、とても心を揺さぶられる作品でした。
 欠点をあげるとすれば、(最大の欠点は一番最初に書いてしまいましたが、)わかりやすすぎることです。(といって私がなんにもわかってなかったら面白い、っていうか、それはそれで問題です。)
 おそらく短編という制約のせいで、劇全体をうまくまとめようとする意志が働きすぎている、と思います。話が閉じすぎることはもったいないことです。今作の場合はこれが「バラの花」(うるせえ、気に入ったんだよ!)をつぼみとはいわないまでも、咲きかけか咲き始めぐらいにしてしまっています。触れたらバラバラに(バラだけに、、、ね。)なっちゃうぐらい開いているのが魅力の関口作品なので特にもったいないと思います。それに伴って、二人の人物に背景を与えるのに苦労している印象があります。


あと、、、ラスト、怖すぎやしませんか?

「・・・・・・折っといたから。もうしばらくしたら、消えるからね・・・・・・。」

は、どこかのなにかの、

「中に誰もいませんよ。」

レベルのおぞましさです。
でもこれは冗談で、よくやった!と思います。この作品はこのセリフがあって初めて、感動を生むことができるのです。本当に残念なのは短すぎること。これじゃあカタルシスしてる暇もないまま終わってしまいます。


というわけで、作品自体の倍ぐらいの文字数の感想を書いたってことで、この作品の魅力が伝われば本望です。

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